Reading №4_7

Chebakova Irina

熊の誕生日

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熊の誕生日

夏の間緑だった木が皆赤や黄色に変わって小さな森はいつの間にかオレンジ色になりました。この小さな森には一けん小さな家があって、恥ずかしがりやの小さな熊が住んでいました。

秋のやわらかい日差しがオレンジ色の森に差し込む明るい朝、小さな熊は大きな大きなスポンジケーキを焼いて、チョコレートと干しぶどうを飾りました。

「これで、よし。とてもうまく出来た。さあ、テーブルの用意をしよう。」

熊はテーブルに青いテーブルクロスをかけると、そのまん中にケーキを置き、戸棚からお皿とコップを出して並べました。

「今日は僕の誕生日。飛び切りおいしいケーキは出来た。お茶の用意も大丈夫。」

と熊はテーブルの周りをスキップして、

「あとは、もう、お客さんが来るのを待つだけ。」

と窓のふちに立って、外を眺めました。赤いや黄色い葉っぱが風に踊っています。

「かさっ。」と、音のするたび、くまは、

「誰か、来たかな。」

と、目を大きく開けて、木の間を見ました。でも、葉っぱがちるだけで、誰もいません。

「森にいるのは、やっぱり僕一人だか。」

と熊は何回も独り言を言いました。

「どんくりばやしに行けば、りすがいるし、お日さまはらっぱにはうさぎがいるんだけど、呼びに行くのは恥ずかしいな。さて、どうしたらお客さんが来てくれるだろうか。」

熊は、家の中を行ったり来たりして、考えました。かいだんを上ったり下りたりして考えました

「そうだ!」

と、熊は手をたたきました。

「手紙を書きましょう。手紙を書いて出せば、きっと、誰か来ます。」

小さな熊は、小さな森をかけまわって、一番大きい、一番きれいな赤いはっぱを、一まいひろって、

「ケーキを食べに来てください。

   小さいもりのくま。」

と書きました。

「さあ、これをどんぐりばやしのポストに入れて行きましょう。」

熊は夏からかぶっている青いリッボンのむぎわらぼうしを頭にのせると、赤い

はっぱの手紙を持ってでかけました。

「誰が来てくれるか、楽しみ、楽しみ。」

と、小さなくまがオレンジ色の森を出たときです。突然、風が吹いて、くまの手から赤いはっぱをさらって行きました。

「あ、待って。それは大事な手紙だよ。返して。」

熊はあわてて、葉っぱをおいかけると、頭のむぎわらぼうしが空に飛びました。

むぎわらぼうしは青いリボンをひらひらさせて、おひさま原っぱへとんで行きました。原っぱではうさぎが洗たくをしていてにんじん模様のシャツをロウプにほしていました。

「あれ、あれ、ぼうしが飛んで行く。だれのだろう。おーい、どけへ行くんだーい、ちょっと待ってくれ。」

うさぎはシャツをロープの引っ掛けたままぼうしを追いかけました。すると、また風が吹いて、うさぎのにんじん模様のシャツは空に飛んだ。シャツは、吹かれて、はらっぱのすすきの上を通り、どんぐりばやしへ飛んで行きました。

  どんぐりをひろっていたりすは、

「まあ、おどろいた。シャツが鳥みたいに飛んで行く。だれのでしょうか。おーい、どこまで飛んでいくのですか。ちょっと待ってー。」

と、わらであんだかごをほうりだして、うさぎのシャツを追いかけました。どんぐりがこぼれて、かごはからっぽ。そこへ、又風が吹いて、りすのかごは空に飛び、風に吹かれて、けやきのなみ木道へ飛んで行きました。

けやきのなみ木道では、かれ葉がちって、

「これじゃ、落ち葉の雨だわ。かさをさしましょう。」

と、ぶたが赤い水たまもようのかさをさして、散歩をしていました。

「おや。」

と、ぶたは立ち止まって、空を見ました。

「おかしな物が飛んで行く。いったい、あれはなあに。まあ、かごじゃないの。だれのでしょうか。おーい、ちょっと待ってちょうだい。」

豚はりすのかごに向かって、かけだしました。ぶたがいっしょうけんめい走って、かさが手からはなれて、ふわりと空に飛びました。

赤い水たまもようのかさは、けやきの上を飛んでいきました。

なみ木道のはずれにとても大きな家があって、ひろい庭のまん中でライオンがアコーディオンを引いていました。ライオンがいい気分で歌っているとき、ぶたの赤い水たま模様のかさが飛んできました。

「やあ、これはおどろいた。かさがひこうきみたいに飛んでいくは。だれのだい、あのかさは。おーい、待ってくれ。」

ライオンはアコーディオンをそばに置いてぶたのかさを追いかけました。するとアコーディオンを風に吹かれて飛んで行きました。アコーディオンはのびたり、ちじんだりして歌いながら、

「たらーらたらーらぶーかぶーか」

と、川のほうへ飛んで行きました。赤い葉っぱはお日さま原っぱをよこぎてどんぐりばやしを通り、川をわたり、また小さいオレンジ色の森へ帰りました。

「つかまえた。やっとつかまえた。」

と小さな熊はさけびました。そのとき、熊のあたまに青いリボンのむぎわらぼうしが飛んで来ました。そこへ、

「つかまえた、やっとつかまえた。」

と、うさぎが追いかけてきて、ぼうしを取ってみました。熊は、

「これは僕のだよ。」

と言いました。

「なんだあ、熊さんのぼうしだったか。」

と、うさぎか言ったとき、にんじん模様のシャツが飛んで来て、うさぎの耳に引っかかりました。そこへ、

「つかまえた、やっとつかまえた。」と、りすがおいかけて来て、シャツを取ってみました。うさぎは、

「これは僕の。」、と言いました。

「あら、うさぎさんのシャツでしたか。」と、りすが言ったとき、かごが飛んできて、りすのしっぽにぶつかり、そこへ、

「つかまえた、やっとつかまえた。」と、豚が追いかけてきて、かごを取ってみました。りすは、

「これは、わたしのよ。」と言いました。

「まあ、りすさんのおかごでしたか」と、ぶたが言ったとき、赤い水たま模様のかさが、ぶたの足元に飛んできて、同時に、

「つかまえた、やっとつかまえたぞ。」と、ライオンが追いかけてきて、かさをつかみました。ぶたは、

「これは、私のですよ。」と言いました。

「ははあ、なるほど。ぶたさんのかさだったのか。」と、ライオンがうなずくときにアコーディオンが「たらーら、たらーら、ぶか、ぶか」と、歌いながら飛んで来ました。

オレンジ色の森はおおにぎやかになりました。みんなは口ぐちに、

「熊さん、きょうは何があるの。」

「おまつりか。」

「ダンスぱーティー」

「音楽会、それとも、けっこんしきかな。」

と聞きました。小さな熊は赤いはっぱを持って、もじもじすると、みんなは、

「はずかしがちしないで、教えて。」

と、たのみました。小さな熊は小さい声で、

[僕のたんじょうび。]と言いました。

「え、何を言ったの。聞こえなかったから、もう一度言ってください。」

「今日は、僕のたんじょうびです。」と熊が言いました。みんなは、いっせいに、

「おたんじょうびおめでとう。」

と、手をたたきました。小さな熊、又、大きい声で、

「ケーキを食べに来てください。」といいました。

「えっ、ケーキがあるの。」

「すてきなお誕生日ね。」

うさぎと、りすと、ぶたと、ライオンと、小鳥たちは大よろこびで、熊の家へ行きました。

アコーディオんをひいて、歌ったり、踊ったり、ケーキを食べたり、お茶を飲んだり、それはすてきなお誕生日でした。

そして、この日から、恥ずかしかった小さな熊に友達がたくさん出来たのです。